本プロジェクトは、文部科学省が平成26年度に募集した「課題解決型高度医療人材養成プログラム」として採択された5年間の教育推進事業です。「課題解決型高度医療人材養成プログラム」とは、「高度な教育力?技術力を有する大学が核となって、我が国が抱える医療現場の諸課題等に対して、科学的根拠に基づいた医療が提供できる優れた医師?歯科医師?看護師?薬剤師等を養成するための教育プログラムを実践?展開する大学の優れた取組を支援するもの」とされています。本学は平成18年度から23年度まで文部科学省の支援を受けて、病棟でのチーム医療を目指した体系的かつ段階的な教育プログラムを構築してきました。そこで、本学ではこのチーム医療教育プログラムを病院内から地域に拡大し、在宅チーム医療を実践する医療人を養成するための新たな教育プログラムを構築する「在宅チーム医療教育推進プロジェクト」を立ち上げました。
超高齢社会を迎えたわが国では、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援?サービス提供体制(地域包括ケアシステム)を構築する取組が全国的に推進されています。そこで、本学では地域包括ケアシステムにおいて在宅チーム医療を実践する医療人を養成するため、以下の目標を定め、5年間の教育推進プロジェクトに取り組んでいます。
- 在宅チーム医療を実践する医療人を養成するための、全国のモデルとなる体系的?段階的な学部連携教育カリキュラムを構築し、円滑に実施する。
- 在宅チーム医療に求められる専門性の高い知識?技能?態度をバランスよく修得し、地域の在宅チーム医療スタッフの一員として多職種と連携協働しながら、患者のQOLの維持?向上を目指し、適切な治療?ケア?支援を積極的に実践できる医療人を養成する。
- 地域での在宅チーム医療実習等で必要とされる学生指導力を有する医療?福祉専門職を養成し、教育の充実と質の向上を図る。
本プロジェクトの取組として、平成26年度には新規授業科目の開講準備を行い、平成27年度には1年次、平成28年度には1?2年次において、在宅チーム医療に関する学部連携科目を開講しました。また、平成23年度から全国に先駆けて本学で開講していた「学部連携地域医療実習」(医?歯?薬6年次、保健医療4年次:選択科目)の実施地域(東京都大田区?横浜市?富士吉田市)を、平成28年度は品川区や川崎市にも拡大しました。地域での実習では地域包括ケアを実践している多職種による指導が必須であり、平成26年度からは継続して指導者養成に取り組んでいます。さらには、学生の学習を支援する教材として、映像資料、シミュレーター、電子ポートフォリオなどの開発?制作も行っています。今後も、事業の更なる充実を目指して参りますので、関係各位の皆様のご理解とご協力を賜れましたら幸甚にございます。
?事業推進責任者 薬学部長 中村明弘